渋谷のマンションに星夜と共に帰宅した沙羅は出迎えてくれた晴の笑顔にホッとした。
『悠真も帰って来てるよ』
晴は沙羅が何も聞かなくても悠真の在宅を知らせてくれた。
沙羅と三人の男の四角関係がどのように変化しても、晴は変わらず沙羅と彼らを見守っていた。晴の存在でこの家の空気は緩和されている。
「海斗は?」
『海斗は風呂入るって言ってた。もう出た頃じゃないかな。……おーい、星夜っ。それ俺が買ってきたカラアゲっ! 食うなぁ!』
『ケチケチすんなよー。ガーリック塩味うまっ』
『カラアゲのカツアゲやめろ! 食うなら一個につき千円払え!』
『高っ! 居酒屋のから揚げだってもっと安いぞ。晴こそカラアゲのカツアゲはやめてくださーい』
晴と星夜はキッチンでコンビニのから揚げの取り合いを始めている。日常風景の二人の喧嘩を遠巻きに眺めていた沙羅は意を決して二階に上がった。
二階の廊下に出ると北西向きのテラスに人影を見かけた。タオルを首にかけた海斗がウッドチェアに腰かけている。
「お風呂上がりでしょ? 風邪引くよ」
テラスに出た沙羅を海斗は一瞥した。
北西向きの二十階のテラスからは闇に包まれた代々木公園が見える。代々木公園の向こうには新宿の夜景が広がっていた。
『5歳の沙羅は俺がいらないって言っても自分のクッキー半分にして無理やり分けてくる押し付けがましい女だった』
「海斗は甘い物嫌いだもんね。子どもの頃は甘い物が嫌いな人がいるとは思ってなくて……」
『沙羅が分けてくれたクッキーは美琴先生が作った紅茶のクッキーだった。アレは旨かったよ』
海斗が座るウッドチェアは二人用の長椅子だ。沙羅は彼の隣に腰を降ろした。時折吹いてくる風に乗って、風呂上がりの海斗のシャンプーの香りが鼻をかすめた。
『悠真も帰って来てるよ』
晴は沙羅が何も聞かなくても悠真の在宅を知らせてくれた。
沙羅と三人の男の四角関係がどのように変化しても、晴は変わらず沙羅と彼らを見守っていた。晴の存在でこの家の空気は緩和されている。
「海斗は?」
『海斗は風呂入るって言ってた。もう出た頃じゃないかな。……おーい、星夜っ。それ俺が買ってきたカラアゲっ! 食うなぁ!』
『ケチケチすんなよー。ガーリック塩味うまっ』
『カラアゲのカツアゲやめろ! 食うなら一個につき千円払え!』
『高っ! 居酒屋のから揚げだってもっと安いぞ。晴こそカラアゲのカツアゲはやめてくださーい』
晴と星夜はキッチンでコンビニのから揚げの取り合いを始めている。日常風景の二人の喧嘩を遠巻きに眺めていた沙羅は意を決して二階に上がった。
二階の廊下に出ると北西向きのテラスに人影を見かけた。タオルを首にかけた海斗がウッドチェアに腰かけている。
「お風呂上がりでしょ? 風邪引くよ」
テラスに出た沙羅を海斗は一瞥した。
北西向きの二十階のテラスからは闇に包まれた代々木公園が見える。代々木公園の向こうには新宿の夜景が広がっていた。
『5歳の沙羅は俺がいらないって言っても自分のクッキー半分にして無理やり分けてくる押し付けがましい女だった』
「海斗は甘い物嫌いだもんね。子どもの頃は甘い物が嫌いな人がいるとは思ってなくて……」
『沙羅が分けてくれたクッキーは美琴先生が作った紅茶のクッキーだった。アレは旨かったよ』
海斗が座るウッドチェアは二人用の長椅子だ。沙羅は彼の隣に腰を降ろした。時折吹いてくる風に乗って、風呂上がりの海斗のシャンプーの香りが鼻をかすめた。

