潮風に紛れて香る星夜のコロンは嗅ぎ慣れた甘いムスクの匂い。
『悠真が好き?』
「……好き」
『俺と海斗よりも?』
「皆好きだよ。でも……こんなに心が締め付けられるのは悠真だけなの。なのに星夜にも海斗にも恋して甘えてる私はずるい。海斗だって傷付けて……何やってるんだろう」
『恋愛は共犯関係だ。どっちが悪いなんてないよ。俺でも昨日の海斗と同じことした』
哀しげに触れた彼の唇は彼女と重なるたびに熱を帯びる。キスの最中に沙羅の耳元を覆うように添えられた星夜の手が世界と二人を遮断した。
『悠真も海斗もやめて、俺にしない?』
「……ごめんね」
『んー、どうしようかなー。もう一回キスさせてくれたら離すよ。これが本当に最後のキス。していい?』
最後のキスを断れなかったのは彼に惹かれていた証。星夜への恋は嘘じゃなかった。
心が三つあれば楽なのに心はひとつしかない。
星夜を好きな沙羅と海斗を好きな沙羅。二つの恋心はまだ消せない。
今だって星夜に触れる女の唇はもっと、もっと、と彼を欲しがって沙羅を困らせている。
さざ波の音も聴こえなくなった二人きりの世界を夕日影《ゆうひかげ》が彩っていた。
『悠真が好き?』
「……好き」
『俺と海斗よりも?』
「皆好きだよ。でも……こんなに心が締め付けられるのは悠真だけなの。なのに星夜にも海斗にも恋して甘えてる私はずるい。海斗だって傷付けて……何やってるんだろう」
『恋愛は共犯関係だ。どっちが悪いなんてないよ。俺でも昨日の海斗と同じことした』
哀しげに触れた彼の唇は彼女と重なるたびに熱を帯びる。キスの最中に沙羅の耳元を覆うように添えられた星夜の手が世界と二人を遮断した。
『悠真も海斗もやめて、俺にしない?』
「……ごめんね」
『んー、どうしようかなー。もう一回キスさせてくれたら離すよ。これが本当に最後のキス。していい?』
最後のキスを断れなかったのは彼に惹かれていた証。星夜への恋は嘘じゃなかった。
心が三つあれば楽なのに心はひとつしかない。
星夜を好きな沙羅と海斗を好きな沙羅。二つの恋心はまだ消せない。
今だって星夜に触れる女の唇はもっと、もっと、と彼を欲しがって沙羅を困らせている。
さざ波の音も聴こえなくなった二人きりの世界を夕日影《ゆうひかげ》が彩っていた。

