【Quintet】

 渋谷駅前で待っていた沙羅を乗せた星夜のバイクは六本木ヒルズや東京タワーの側を通って南に向かう。二重構造のレインボーブリッジの下段に入ると、お台場の風景が見えてきた。

星夜からメールが届いたのは午後の講義の合間だ。話があるから二人で出掛けようと言われ、沙羅の学校を終えた後に渋谷で待ち合わせた。

 渋谷からバイクで30分かけて到着した場所は江東区の水の広場公園。付近にはお台場や東京ビッグサイトがある。

『家だと海斗達がいるし、こういう場所の方がゆっくり話せると思ってね。あそこまで歩こうか』

二人は園内の小道を歩いて東京湾を囲む遊歩道に出た。後ろを振り向くとお台場の大観覧車が茜色に染まる空にそびえている。

『悠真と海斗とゴタゴタあったんだって?』
「二人から何か聞いた?」
『海斗と一晩一緒にいてエッチなことしちゃった話は本人から聞いてる。海斗も俺達が寝てる間に沙羅とイイコトしてずるいよなぁ。あーあ。俺も交ぜて欲しかった。俺も沙羅とエッチなイイコトしたいー』

 鉄柵に背中を預けて嘆く星夜の隣で沙羅は夕焼けと同じ色に頬を染めた。そんな彼女を覗き込む星夜のブルーグレーの瞳がニヤリと笑っていた。

『そんな顔赤くして。気絶するほど何された時が気持ち良かった? 指が良かった? 口でされた時?』
「男の子って平気でそういう話するんだからっ。海斗にどこまで聞いたのよ!」
『男同士の会話の8割は女のハナシ。海斗に触られた沙羅がどんな風に気持ちよくなったのか興味はあるよ』

身体には海斗の痕跡が残っている。夜の秘密の共犯者に刻みつけられた欲情の余韻が身体を熱くさせた。