スタジオの床に大の字に寝そべる海斗の目元は保冷剤入りのアイマスクで覆われている。睡眠が不足した状態での歌唱は体力が持たず、今日はモチベーションも上がらない。
『最後までしなかった海斗は紳士っつーか、ウブだねぇ』
海斗の隣には鏡張りの壁を背にして床に座る星夜がいた。アイマスクを上にずらした海斗が星夜を見上げる。
『星夜はなんで平気なんだ? 沙羅と兄貴が何かあって、アイツが俺と寝た話聞いてるのになんでヘラヘラしてる?』
『ヘラヘラしてるように見えますー? 元からこんな顔ですけど。でもまぁ、海斗も悠真も抜け駆けしやがってとは思ってる』
星夜は喉を鳴らしてペットボトルの水を飲み込み、長い溜息を一回吐いた。
『しかしこれだとライブもヤベェな。俺や晴もフォローはできるけど、UN-SWAYEDの音の要《かなめ》は海斗と悠真だ。お前ら兄弟の連携が取れねぇとすべての音がバラけるんだよ。早く兄ちゃんと仲直りしろ』
『兄貴と話すことはねぇよ』
『このままライブができなくなってもいいのか? 女問題で俺と晴の頑張りまで無駄にするなよ』
今日の四人の音はちぐはぐで噛み合わなかった。ボーカルの海斗とギターの悠真の阿吽《あうん》の呼吸があってこそ、ベースの星夜とドラムの晴の音が生きる。
10月に入れば本格的にセットリストを組んで、12月のライブに向けてリハーサルを重ねる日々。ここで海斗と悠真がギクシャクしていてはバンドの存在そのものが危うくなる。
『今夜の晩飯当番、俺も沙羅もパスさせてもらっていい?』
『別にいいけど何する気?』
『俺もちょっくら悪あがきさせてもらう。海斗はあのダメダメな状態の悠真を何とかしてくれ』
手早く作成したメールの宛先は沙羅。メールの送信完了を告げた携帯電話を上着のポケットに押し込んで、星夜はスタジオを出ていった。
『最後までしなかった海斗は紳士っつーか、ウブだねぇ』
海斗の隣には鏡張りの壁を背にして床に座る星夜がいた。アイマスクを上にずらした海斗が星夜を見上げる。
『星夜はなんで平気なんだ? 沙羅と兄貴が何かあって、アイツが俺と寝た話聞いてるのになんでヘラヘラしてる?』
『ヘラヘラしてるように見えますー? 元からこんな顔ですけど。でもまぁ、海斗も悠真も抜け駆けしやがってとは思ってる』
星夜は喉を鳴らしてペットボトルの水を飲み込み、長い溜息を一回吐いた。
『しかしこれだとライブもヤベェな。俺や晴もフォローはできるけど、UN-SWAYEDの音の要《かなめ》は海斗と悠真だ。お前ら兄弟の連携が取れねぇとすべての音がバラけるんだよ。早く兄ちゃんと仲直りしろ』
『兄貴と話すことはねぇよ』
『このままライブができなくなってもいいのか? 女問題で俺と晴の頑張りまで無駄にするなよ』
今日の四人の音はちぐはぐで噛み合わなかった。ボーカルの海斗とギターの悠真の阿吽《あうん》の呼吸があってこそ、ベースの星夜とドラムの晴の音が生きる。
10月に入れば本格的にセットリストを組んで、12月のライブに向けてリハーサルを重ねる日々。ここで海斗と悠真がギクシャクしていてはバンドの存在そのものが危うくなる。
『今夜の晩飯当番、俺も沙羅もパスさせてもらっていい?』
『別にいいけど何する気?』
『俺もちょっくら悪あがきさせてもらう。海斗はあのダメダメな状態の悠真を何とかしてくれ』
手早く作成したメールの宛先は沙羅。メールの送信完了を告げた携帯電話を上着のポケットに押し込んで、星夜はスタジオを出ていった。

