【Quintet】

「……彼氏……じゃないよ。でも春から四人の男の人がここに住んでるの」
「四人っ!?」
「あ、あの、違うのっ! お父さんの仕事関係の人で、お父さんの許可済みだよ。四人は二階の四つの部屋に住んでる」

 そもそも最初から四人と同居をする目的で父がこのマンションを作った……とは言えない。

「黙っていてごめんね」
「まぁ……秘密にしないといけないお父さん達の事情もあるみたいだね。しかし四人か……まさかの四人……。で、沙羅の彼氏はその四人の誰なの?」
「彼氏じゃないって!」
「ふーん? 顔真っ赤。沙羅はホントにわかりやすいなぁ」

 彼氏じゃないけど好きな人が三人いるとも言えない。まして同居している四人がUN-SWAYEDのメンバーだとは、悠真達の許可がない限りは口が裂けても言えない。

「事情があるのはわかった。でも半年も黙っていられたのはショックだった。私が言いふらすと思った? 水臭いよ」
「ごめん……」
「謝るのはナシナシ。まだ何かありそうな気配はするけど、今は聞かない。いつか話せる時が来たら話してね。いつでも待ってるよ」

 美月や花音には話せる気持ちが織江には話せない。美月は彼らの友人の恋人、花音は彼らの身内。
四人の正体を隠す必要のない人達だから沙羅も素直な気持ちを話せる。

大切な友達に本当のことを言えない心苦しさ。
いつか言えたらその時は、私の好きな人はあの人だと、胸を張って言えるようになっていたい……。