【Quintet】

 ここで休もうと言ってくれたのは沙羅の靴擦れに気付いた海斗。もしもの時に備えて絆創膏を持参していたのは星夜だった。

『足大丈夫?』
「うん。ごめんね。下駄も浴衣も初めてだから歩き方もわからなくて」
『帰りはタクシー使う?』
『祭りの通行止めってどこまでだ?』
『ヒルズ辺りまで歩けばタクシー拾えるだろ』
「もうー! 大丈夫だよ。皆一緒に電車で帰ろっ」

 心配性な三人に笑ってはいけないと思っても笑いが込み上げてきた。

 悠真がくれた黒色のヨーヨーが沙羅の左手の薬指にぶら下がって揺れている。人差し指には薄いピンクのヨーヨーがある。

靴擦れの足は痛くても冷えたラムネはとても美味しい。
海斗が買ってきた6つ入りのたこ焼きを四人で分け合い、沙羅が5つ目を貰って最後のひとつは海斗と星夜と悠真のジャンケン大会になった。

 初めての夏祭りがこんなに楽しいのは側に皆がいるから。
答えを出さなければこのままでいられる?
でも答えを出さなければ三人が苦しい。沙羅も苦しい。

 ──本気で落としにかかるから覚悟しろよ?──

 ──俺がキスしたいと思う女は沙羅だけ──

 ──もう一度、俺に恋させるから──

 今はまだ答えを出せないとしても。
いつか……。