【Quintet】

 だんだんと夜の空気が濃くなる夏の街。今日だけは食べ歩きも夜遊びも許される解放感。
見るものすべてが新鮮だった。

「でも子どもがいっぱい……」

人の群れの隙間から見えたヨーヨー釣りの客はほとんどが子どもだ。

『年齢制限はないから、気にしなくていいよ。行こう』

 悠真が沙羅を連れてヨーヨー釣りの屋台の群れに突入すると、急に現れたイケメンに驚いた見物客が場所を空けた。

『ごめんね、お姉さんをここに入れてあげてくれるかな?』

ヨーヨー釣りをしている浴衣姿の女の子に悠真は声をかけた。
小学校の高学年くらいの女の子は見たこともないようなものを見る顔で頬を染めて頷き、後ろに控えている女の子の母親らしき女性も顔を赤らめていた。

『おじさん、二人分ね』

 悠真が料金を店主に渡し、ヨーヨーの釣り道具が沙羅の手に渡った。カラフルな水風船が気持ちよさげに水面に浮かんでいる。

「この輪ゴムにこれを通すんだよね?」
『そうそう、それで釣り上げるんだ』

沙羅は浮かんでいるヨーヨーの輪ゴムの輪に慎重にこよりを通した。