【Quintet】

 乗り換え駅の青山一丁目駅から乗車時間5分で麻布十番駅に到着した。

『神社の前にいるってメール来たけど、どこだ?』

麻布十番駅の出口を出た四人は祭りの雰囲気に賑わう街で悠真と晴の姿を捜す。駅の出口の隣には十番稲荷神社があり、神社の前の道は浴衣を来た人々で混雑していた。

祭囃子《まつりばやし》の和太鼓や笛の音も聴こえる。

「……あー! 晴に女がくっついてる!」
『花音、落ち着け』

 神社の階段を数段上がった場所にいる悠真と晴を花音が見つけた。二人の側には浴衣姿の若い女が二人いた。

表参道駅で待っていた海斗と星夜の周りにも女性が集まっていたが、こちらの二人の周りにもやはり女が集まってしまう。

 晴が逆ナンされている現場を見て憤慨する花音が沙羅は羨ましくなった。花音のように素直にヤキモチを現せたら楽なのに、嫌と思っても態度に出せない。

 悠真の側に知らない女が近寄るのも、海斗や星夜に女の熱い視線が向けられるのも、全部嫌だった。
三人は自分のものだと思うのは、身勝手でおこがましいとわかっている。けど、どうしようもなくモヤっとした感情が渦巻くのを止められない。

『兄貴が逆ナンされて嫌?』
「……そんなんじゃ……ないもん」

そうじゃないと否定しても海斗には見抜かれている。
海斗と手を繋いでいても悠真の様子が気になって、花音をなだめている星夜のことも盗み見てしまう。今日は感情が忙しい。