【Quintet】

『ほら、花音も手貸して』

 先に階段を降りる沙羅達の後ろで星夜も花音に手を差し出した。下駄と浴衣で地下鉄の階段の登り降りは一苦労だ。

「私のエスコートでいいの? 海斗に沙羅ちゃん盗られてるよ?」
『今は海斗に譲る。それに花音をひとりにもできないんですよー。現地着くまで花音を見張っておけって晴に言い付けられてるので』
「見張っておけって失礼な。私は猛獣かっ!」
『どっちかと言うと野獣? ……ってのは冗談。こんな美人がひとりでいたら絶対ナンパされるだろ。俺は花音を晴に受け渡すまでのガードマン』

星夜と手を繋いで階段を降り始めた花音はこのひとつ年下のクォーター美男子をねめつける。

「あんたって口が軽くてチャラくなければ極上のイケメンなのにね……惜しい」
『それが俺様のイ、イ、ト、コ、ロ』
「自分で言うなぁっ!」

 騒ぎながらも星夜の完璧なエスコートで地下に降りた花音を沙羅と海斗が待っていた。
表参道から麻布十番駅へ行くには半蔵門線で隣の青山一丁目駅に出て大江戸線に乗り換えだ。

 ホームでも列車内でも相変わらず海斗も星夜も目立っていた。加えて高身長クールビューティーな花音も周囲の視線を集めていた。