【Quintet】

 美容院には他にも多くの女の子がいる。皆、夏祭りに出掛けるための着付けとヘアセットで訪れた客達だ。

ここでは夏祭り期間のみ、貸し衣装屋と提携して浴衣のレンタルサービスもしている。沙羅が着ている金魚柄の浴衣もレンタル品だ。

「普段と違うメイクが出来るのも浴衣の良さなんだよ。目尻にポイントで赤のアイライン入れてみよっか。浴衣の金魚の色とお揃い」

 沙羅のヘア担当は花音の母、メイク担当は花音。
アロマセラピストだけでなくメイクアップアーティストの資格もある花音の手で沙羅の目尻にパールレッドのアイラインが引かれた。

渡された手鏡に映る自分の目元には見慣れない赤色のアイライン。

「アイラインに赤色は使ったことなかったので新鮮です」
「沙羅ちゃんはナチュラルメイクでも充分可愛いけど、こうして色で遊んでも映える顔立ちしてるよ。悠兄達もメロメロだねぇ!」
「あの子達がぞっこんな沙羅ちゃんのことは親戚の集まりでも話題になるのよぉ」
「あははっ! ゾッコンって、お母さん言葉がふるぅーい!」

 高園兄弟がイトコの花音も花音の母親も苦手な理由がなんとなくわかった。これは確かに逃げたくもなる。

甥の悠真と海斗が沙羅に恋をしていることも二人が沙羅に求愛していることも花音の母親にも全て筒抜け。
恥ずかしさで目元だけでなく沙羅の顔まで真っ赤に染まった。