【Quintet】

「もしも私が晴の彼女になったら由芽ちゃんは許してくれるかな?」
『もしも、の話な。由芽も花音なら祝ってくれるんじゃねぇの?』
「おお? それは“もしもの話”が近いうちにあるって解釈でいいんですかい?」

 あどけなく笑う花音の額にデコピンを食らわせた。花音のこの笑顔に何度も助けられてきた。

2ヶ月前の律との再会が晴の中でひとつの区切りになった。晴と由芽と律、幼かった三角関係の恋に別れを告げた今の晴の目に映るのはいつも支えてくれた明るい人。

『来週の日曜、暇?』
「日曜……うん、暇!」
『麻布の夏祭りに沙羅や悠真達と行くんだ。花音が増えても問題ないだろうし、一緒に行く?』
「行く! 行く行く! 晴と夏祭り!」

 本当は不安になったんだ。
1年振りに再会した花音はまた綺麗になっていた。
由芽の時と同じ後悔は二度としたくなかった。
遠くに行ってしまう前に、今度はちゃんと手を伸ばして捕まえていたい。

 お盆はあの世とこの世を塞いでいた扉が開く時。
霊感がない晴には何も感じない普段と同じ日。けれど由芽の霊がこっちに帰って来ているなら、聞いてみたい。

 ──君の幻影に囚われていた昔の自分とサヨナラするよ
君はそれでもいいかな?
君のことは忘れないよ
でも、君と歩けなかった未来を少しずつ進んで行こうと思う

花音と一緒に。