【Quintet】

 晴はスラックスのポケットから携帯電話を取り出した。サイレントモードに設定した携帯には15分前から不在着信が6件、すべて沙羅の携帯電話からかけられている。

『沙羅から着信が入ってる。悠真の方は?』
『俺の方にはない。俺達が仕事中ってわかってる沙羅は何かあればメールを入れてくれるのに珍しいな』
『……ちょっと待って。メールも入ってた』

最後の着信から2分後に差出人が沙羅の名前になったメールを受信していた。メール画面を開いた晴は凍りつく。


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 円山町 ホテル エイリアス 304
 オヒメサマとそこにいる
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 この文面は沙羅が書いたものではない。晴にメールを見せられた悠真も眉をひそめていた。

携帯のネット検索でホテルエイリアスの名前を打ち込んで検索すると、いかにもそれらしい建物の写真が表示された。円山町は渋谷のラブホテル街だ。

『円山町のエイリアス……ラブホだな。オヒメサマが沙羅だとすると沙羅をこんな所に連れて行った奴がいる』
『問題は“オヒメサマと”そこにいる相手が誰か……』
『あの盗撮の後だ。誰かは予想はつく』

 晴は沙羅の携帯に電話をかけ直した。