【Quintet】

 悠真はリビングのマガジンラックに視線を移す。沙羅のファッション誌やレシピ本と並んでラックに立て掛けられた音楽雑誌の名前はリエット。

4月発売のリエット5月号には葉山行成が書いたUN-SWAYEDのコラムが載っている。そのコラムの他に行成と担当ライターの対談記事も掲載されていた。

『リエットで葉山さんと対談したライターがアキさんの妹だろ。香道って珍しい苗字だからな。ライターの名前見てすぐに気付いた』
『ああ、なぎさちゃんな。アキさんの妹が俺達の記事を書いてくれた。巡り合わせって面白いよ』

 晴も二階に行き、既に身支度が整っている悠真は海斗と晴を待つ間に今後の動きを思案する。

 律が仕掛けてきた場合の動きは想像がつく。
晴が暴走族に所属していた過去は脅しのネタになる。黒龍が実際はどんなグループでも晴が友達を止めるために入ったとしても、暴走族というレッテルだけで世間の見方は手のひら返しに変わるだろう。

ネタが週刊誌に売られたらバンドは一巻の終わりだ。何事も先手が勝つ。

(念のため社長に報告して業界に手を回してもらうか……)