【Quintet】

6月2日(Tue)午前9時

 玄関で靴を履く沙羅と星夜を見送りに出たのは悠真だ。

『星夜、沙羅を頼むよ』
『OK! 沙羅と朝からドライブできて嬉しいなぁ』

 星夜の手には四人が共有する車の鍵。夜空の封筒で届いた隠し撮り写真のすべてに沙羅が写っていたことから、狙われているのは沙羅だ。

犯人が仕掛けてくるとすれば沙羅がひとりになる通学時間帯。当面は行きはスケジュールに余裕のある者が沙羅を大学まで送る。
初日の当番は星夜だった。

『やっぱり帰りも迎えに行こうか?』
「大丈夫だよ。渋谷も池袋も人は多いし、注意して帰るから平気平気。悠真達も無理しないでね」

 悠真の本音は行きよりも帰りが心配だった。しかし沙羅の帰宅時間までに彼らの仕事が終わる日はほぼない。

それに帰宅を制限するのは沙羅のプライベートな時間を奪ってしまう。沙羅にも彼女だけの時間を大切にして欲しい悠真は、無理強いはできなかった。