【Quintet】

 二階の廊下に立つ沙羅は晴の部屋の扉をノックした。

「……晴? ……入るよー?」

 無言の扉を開けると部屋の中は真っ暗だった。暗い部屋の天井には星空が浮かび上がっている。

「綺麗……」
『だろ。部屋でプラネタリウムが作れるヒミツの道具』

暗がりに見えた晴の側にはドーム型のライトが灯っている。あのライトから星空が作られていた。

『こっち来いよ。足元、気をつけろよ』
「……うん」

 沙羅が部屋を訪ねても晴は咎めない。入室を許可された沙羅は足元に注意しながらベッドにいる晴に歩み寄った。

晴はベッドに寝そべり、沙羅はベッドの下で膝を抱えて座る。ドーム型のライトはゆっくりと回転していた。

『律とは中1の時に同じクラスになったんだ。気が合って、二人でバカばっかりやってた』

晴が天井の星空を眺めて呟いた。

『中2の時も律とは同じクラスだった。その頃の俺達は大人の言いなりになるのが嫌で、学校も大人もクソだって思ってた。よくある思春期の大人への反抗期みたいなもん。律と非常階段で授業サボって教師に叱られて、帰りはゲーセンで遊んで、初めて煙草吸ったのも中2だったな』

 大人への反抗期には沙羅も覚えがある。沙羅の場合は祖父への反発だった。
誰にでもそんな時期があるのだろう。