【Quintet】

 ~森沿いコース・美月×海斗~


 森の中、風が吹いて木々がざわめく。丸太の階段を海斗の先に立って軽々上がる美月が振り向いた。

「知り合ってもう2年なのに海斗くんと二人になるのって初めてだよね」
『そうだね。俺達が集まる時はいつも隼人がいるから』

美月は隼人の恋人。このメンバーで集まる時は当然、美月の隣は隼人の指定席だった。

「海斗くんて、最初の頃は私とあんまり話してくれなかったよね」
『ああ……ごめん。俺、人見知りで。特に初対面の女の子とは上手く話せないんだ』

 実を言うと海斗は美月が苦手だった。昔から協調性のない人見知りな性格の彼は付き合う人間もごく少数。

中学や高校の体育祭や文化祭も、盛り上げ役を買って出る星夜のおかげで不参加を免れていた。海斗の心のボーダーラインに踏み込めるのは海斗が認めた人間のみ。

 だから兄の友人の隼人と引き合わされた時は奇妙な心地だった。隼人は海斗の心のボーダーラインを易々と越えた。
初対面の時から気を許した友人は隼人と星夜が初めてだ。