【Quintet】

 美月の大学の友達も身体の関係だけの二番目の存在から抜け出せずに苦しんでいるが、それを沙羅に言えば仰天するだろう。

「二人にキスされても嫌じゃなかったってことは、海斗くんと星夜くんのことは少なくとも人としては好きなんだと思うよ。嫌いな人や知らない人にそんなのされたら気持ち悪いじゃない。痴漢だってそうだもん」
「だよね。二人とも人としては大好きなの。海斗だって意地悪ばっかしてくるけど優しいとこもあるし……。悠真にもおでこにキスされちゃったんだ。男の子のやることは訳がわからないっ」
「……悠真くんも動き出して四角関係か。沙羅ちゃんも大変だ」

最後に美月が呟いた言葉は沙羅には聞き取れなかった。美月に聞き返してもなんでもないよと笑ってはぐらかされてしまった。

 夕陽が差す頃、夕食の支度に取り掛かった。メニューはキャンプの定番のカレーだ。カレー鍋の番をする沙羅と美月はブルーシートの上に並んで座って缶ジュースを開けた。

「そうだ。美月ちゃんに聞きたかったことがあるの」
「なに?」
「隼人くんって美月ちゃんと付き合うまではたくさん彼女がいて、女の子と遊んでた人だったんだよね? 隼人くんは良い人だと思うけど、なんで付き合おうと思ったの?」

 沙羅が美月と知り合ったのは先月。同い年の二人はすぐに打ち解けても、まだまだ互いに知らないことが多い。