【Quintet】

 やんちゃな男子軍団からの度重なる水鉄砲攻撃で髪と服を濡らした沙羅達は着替えのために一足先にコテージに戻った。

「海斗くんと何かあった?」
「……えっ!」
「だって今日の海斗くん、よく沙羅ちゃんに突っかかってくるなぁって思って。前からあんな風だったの?」

美月は雰囲気はほわんとしているが鋭いところがある。濡れた髪を拭いていた沙羅はタオルで赤くなった顔を半分隠した。

「あの……ね、一昨日の話なんだけど海斗にキス……されたの」
「ほぉ。それはそれは」

美月は特に驚いていない様子だった。恋愛とは縁のなかった沙羅は友達と恋バナと言うものをするのも初めての経験だ。
彼らとの同居を秘密にしている音大の友達にはこの恋バナは話せない。

「海斗くんに告白された?」
「あれは告白……なのかな。俺だけを見ろって……」
「告白だよそれ!」
「うー……。だけど星夜にもキスされてね……星夜からは告白もされたの。二人のこと意識しちゃってめちゃくちゃ気まずい」

 バスタオルを頭から被った沙羅は部屋の隅で縮こまった。着替えを終えた美月は微笑して沙羅の隣に寄り添う。

「沙羅ちゃんは海斗くんと星夜くんにキスされて嫌だった?」
「それが嫌じゃなかったんだ。私どっかおかしいのかな。恋人じゃない人にキスされても嫌じゃないなんて、変だよね」

 沙羅はあまりにも純情だ。世間一般的な19歳女子の話をするなら付き合っていなくてもキスやキス以上の行為をしている子もいる。