大嫌いな王子様 ー前編ー


キーンコーン…


「ちゃんと聞きなよ?あと、自分の気持ちも言うこと」

「は、はい!頑張ります!」


みっちゃんと約束をして学校を出る。



暁斗くんとちゃんと話をしようと思いながら…


キョロキョロ

周りを気にしながら下校してる私。


やっぱりまだうまく話せる気がしなくて、もし帰りに会ってしまったら…と思うとなんだか緊張するし怖いしで。。

暁斗くんがいないか確認しながら帰っている。





「ただいまです」

なんとか無事会わずに帰宅。
ホッとする私って最悪だな…。


「伊織さん、おかえりなさい」

「牧さん、ただいまです。すぐ着替えますね」


私は部屋に急いだ。



ガチャッ

完全に油断をして部屋のドアを開けた。



ドンッ

へ!?

後ろから押されて部屋に入ると、バンッとドアが閉まり私は壁に背をつける状態になっている。




ドンッ!!

あー。。
ヤバイ状態かも。

一応壁ドンされてるんだけど、全くトキメキとかじゃなく怒られる5秒前的な?


とにかく非常にヤバイです。



「俺を無視するって…いい度胸してんな」


目の前には暁斗くん。



「いや…えっと……帰ってたんだ?」


「あ?んなこと今どうでもいいだろ。なめてんのか」


完全にスイッチ入ってる。




「あの…私仕事が……」

「わかってる。だからとっととなんで無視してんのか言え」


そんな無茶な。。



「別に無視なんて…」

「昨日の様子が無視じゃなかったらなんなんだよ?言ってみろ」



それはそれで…。。
無視というか、避けてたっていうか。。



「えっと…」


どれから伝えれば…



「…もういい」


え?


「仕事の時間だろ?」


「暁斗くん…」


暁斗くんは部屋を出て行った。

【もういい】ってどういう意味…?





避けてる私が悪いのに、さっきの暁斗くんの言葉が頭から離れなくてどうしようもない。



ガチャンッ!!

「わぁー!ごめんなさい」

暁斗くんの部屋にある花瓶を倒して割るし、本棚の角で足の小指ぶつけるし



「あっつー!!!」

暁斗くんの珈琲入れてたら自分の手にかけてしまったり…




「アイツ…大丈夫か?」

なにやってんだ?
ドジにも程があるだろ。


「伊織様とお話は出来ましたか?」


「…出来てねぇよ。ずっと無視されて、やっと捕まえたと思ったら泣きそうな顔するし…」


土曜日の話をしたいのに、あんな顔を見たら話せない。



「全部俺が悪いんだけどな……」

笑って欲しいだけなのに、うまくいかない。




「伊織〜!勉強教えてー」

「和希くんの方が頭いいじゃないですか」

「そんなことないよ〜」


和希のいおにベタベタする態度も腹立つ。
あの日も…ほんとは俺が連れて帰りたかった。




「坊っちゃま、もしよろしければ…」





ーーーーーーーーーー


「は?まだ御曹司くんと話してない?」
 
「うん…」


あれからさらに2日経った。



「この前、もういいって言われて嫌われたと?」

「うん」


「自業自得じゃない?ウダウダし過ぎなんよ」


あぁ、容赦ないみっちゃんの言葉。


「みっちゃん容赦ない〜。でもそんなみっちゃんが大好きです」


「は?私に告ってる場合?ほんとちゃんと話さなきゃ意味わかんない別れ方とかになるよ?」


うん、そうだよね。
そんなの絶対嫌だ。


別れたくない。
離れたくなんかない。


なのに、私なんかが隣にいてほんとにいいの?っておもってしまうのも本音。



むにっ!

「ふがっ!」

みっちゃんに鼻を摘まれた。



「言ったでしょ?しょうもないこと気にしないって。自信持ちなさいって」



みっちゃん…



「うん…。ありがとう。絶対今日話すね」