「…いつまで廃人になってるつもりなん?」
「あと2週間ほど…」
「その間ウザイから学校休むわ」
「みっちゃん…冷たい冷酷人間」
みっちゃんの気持ちはすごくわかる。
朝からこんなウジウジされてたらウザ過ぎるよね。
土曜日はあの後和希くんと先に帰って、お風呂入って部屋に閉じこもった。
夜中1時ぐらいに物音がしたから、たぶん暁斗くんが帰ってきたんだと思う。
日曜日は仕事に専念して、暁斗くんに何回か声をかけられたけど全部理由をつけてスルーをした。
明らかに避けてしまった。
暁斗くんはなにも悪くないのに。
暁おとはまたアメリカに戻ったらしく、少しホッとした。
だけど…根本の問題は何ひとつ解決してないんだよね。
「私、わかってたはずなのにね。釣り合わないって」
「………」
「なのに、なんで好きになっちゃったんだろう」
「嫌いになったの?御曹司くんのこと」
え!!
「まさか!好きだよ今も!」
好きだから、嫌いになんてなれないから悩んじゃうんだよね。
「伊織さぁ、御曹司くんのどこが好きなの?」
暁斗くんの好きな所…
「なに、改まって…」
「んー、なんかちゃんと聞いてないなと思って。まさか、お金に目が眩んだとかじゃないでしょ?あんたなら」
「当たり前だよ!そんなんで暁斗くんを見てるんじゃないもん!」
好きな所
「俺様だけど実は優しいし、なんかちょっと不器用だし、普段塩なのに可愛く笑う時あるし、ひねくれてるのに素直な時あるし…他には」
「あー、もういいや。十分です。御曹司くん、天邪鬼(あまのじゃく)だね」
「え!?そうかな!?」
自覚ないんかい。
この2人…実はバカップルなのかも。
いや、伊織は前からバカか。
「でもね…」
「ん?」
「土曜日もだけど…暁斗くんの住んでる世界がやっぱり異次元で別世界で…知らない表情とかいっぱいなの。何の仕事をしてるのか、暁おととの関係とか、…っていうか、暁斗くんの好きな食べ物とかなんだろう?」
「・・・・あのさ、あんた御曹司くんの誕生日とか知ってんの?」
ガタッ!!!!!
驚き過ぎて勢いよく席を立ってしまった。
「誕生日!?知らない!!!」
「……なんであんたが驚くのかわからん。こっちが驚くっていうか、ちょっと引いてる」
引く!?
「なんで!?」
はぁー…
みっちゃんがため息を吐いた。
「伊織ってさ、御曹司くんに知りたいこと聞いたりしないの?好きだったら、相手のこと知りたいって思わない?」
みっちゃんの言葉が、ドンッと体にぶつかったような感覚になった。
「伊織は不安に感じてるけど…実は御曹司くんもすごく不安かもよ?ほんとに自分のことを好きかどうかとかさ」
暁斗くんが不安に…?
まさか…
「まぁさ、正直御曹司くんたちの世界はエグい別世界だと思う。だからそれにはなにも言えないけど、伊織はもっと自分に自信持って胸張りな?あんた、彼女なんだからもっと自信持って色んなこと知っていいんだよ」
みっちゃん。。。
だばー!!!!!
「うわっ!!なんで泣く!?」
「わーーん!!みっちゃん大好き〜!!!!」
…ったく。。
世話が焼けるんだから。
弟くんやお母さんたちを支えてきたからか、頑張り屋の伊織は受け止めるばかりで自分の気持ちを言葉にしない癖があると思う。
そんな伊織がこんなに悩んでる。
伊織を変えれるのはやっぱり御曹司くんだけだなぁ。
「ほら、鼻水拭きなよ」
「ありがとう〜!」
きゅっ
ティッシュを鼻に詰めた伊織。
「……鼻血じゃないよね?」
「鼻水がちょっと止まらないから」
うん。安定の伊織だ。
大好きな伊織だ。



