2時間ぐらいかかったんじゃないだろうか。
(なんか顔のマッサージ!?とかもしてくれた!むくみがヒドイって言われた!化粧むっちゃ時間かかってた!総合的に考えて私のベースの顔がヒドイってことは改めて理解した!)
「暁斗くん、お待たせしました」
暁斗くんも正装。
すごくすごくかっこいい。
「…いお、似合ってる」
ヤバイ…さっきまでの自己肯定感マイナス1000が暁斗くんの言葉のおかけで一気に1000アップして、プラマイゼロになった。
ガバッ!!
「わぁ!!」
「伊織、可愛い〜!お姫様じゃん」
後ろからいきなり抱きつかれた。
犯人は和希くん。
「和希くん、ありがとう…ってあれ?和希くんもスーツ??」
「うん。俺も行くことにしたー」
「…チッ。遊びじゃねーんだぞ」
「わかってるって」
和希くんも行くんだ。
なんだか賑やかになりそうだなぁ。
暁斗くんが和希くんの腕を掴んだ。
「いつまで触ってんだ。離れろ」
その言葉だけでドキドキしてしまう。
「うーわー。束縛っていうか、独占欲?強くてキツイねー?」
ねー?って私に聞かないでよ!
和希くんに振り回されながら、なんとか全員車に乗りこんだ。
どんな所なんだろう。
緊張してきた…
ぎゅっ
そんな私の緊張がわかったのか、隣に座ってる暁斗くんが手を握ってくれた。
3、40分ほどで着いたのは大きなホテル。
飯田さんが車のドアを開けてくれて、暁斗くんの後に降りる。
なんとも言えない緊張感が私を襲う。
「行こうか」
「う、うん」
暁斗くんと一緒にホテルの中へ入っていく。
「ちょっと!俺もいるんだけど!さっきから絶対わすれてるよね!?」
あ、ごめん
めっちゃ忘れてた。
暁斗くんと和希くんの間に私。
その後ろに飯田さん。
私、間っておかしない?
着いたのはとても広いパーティー会場のような所。
「暁斗くん、あの…」
緊張がすごくて鼓動が速くなる。
「大丈夫。俺の腕に手回して」
「う、うん」
言われるがまま、暁斗くんの腕に自分の腕を回す。
ちょっと!!それはそれで緊張がヤバイんですが!!!
「暁斗さん!ご無沙汰しております」
会場内に入ると、早速声をかけられる暁斗くん。
「西田専務。ご無沙汰しております。この度はお越しくださり、ありがとうございます」
わぁ……
仕事モードの暁斗くんが、こんな風に人と接してるのを見たのは初めてで…
挨拶だけなのに、なんだか別人に見える。
「暁斗さん!この度の皆実グループへの吸収、見事でございました。暁斗さんのお力によるものだと皆実会長が仰っていましたよ」
「身に余るお言葉、感謝いたします。私なんてまだまだ微力にもなりませんが…」
難しい会話が繰り広げられる。
チラッと少し離れて隣を歩く和希くんを見る。
口笛吹いてる…
「おや?そちらは和希坊ちゃんですか?ご無沙汰ですね」
また違うお偉いさん?らしき人が話しかけてきた。
「はい。ご無沙汰してます。」
おぉ。
和希くんも営業スマイル的なものになった。
やっぱりすごいなぁ。
ぼそっ
「ご無沙汰って…全然知らねーっての」
「こ、こら…!」
いきなり私の耳元でぼそっと呟く和希くん。
「暁斗さん、こちらのお嬢さんは…?」
ドキーーーンッ!!!
キターーーーーッ!!!!!
私には触れないでよー!!!
「私の…大切な彼女です」
え…
私…絶対顔が赤くなってる。
まさか、そんな風に紹介してもらえると思ってなかったから…。
「ほぅ。素敵ですねー。どちらのご令嬢でしょうか?」
あ…そっか。
そうだよね。
「すみません、挨拶回りがありまして」
「おぉ、そうですね。長い時間、失礼しました」
暁斗くん、誤魔化してくれた。
いや、違うな。
誤魔化させてしまったんだ。
それからも、私を彼女として紹介してくれるんだけどその度にどこの令嬢か聞かれる。
婚約?とかまで。
ここにいる人たちの感覚はこういうことなんだ。
そりゃそうだよね。
暁斗くんだもん。
すごい人なんだな、今日隣にいて改めて知っていく。
実感していく。
こんな近くにいるのに、知らなかった部分が多過ぎて自分がなんだか情けなくなる。
「暁斗さん」
「金澤社長」
あ、今回傘下?に入ったって言われてる金澤さんの会社の社長さんだ。
ってことは…金澤さんのお父さんかな?
「この度は我が社を傘下に入れていただき、ありがとうございます」
「いえ、こちらこそありがとうございます。これから共に頑張っていけると嬉しいです」
「ははは。本当に暁斗さんはやり手でらっしゃる。会長のお父様も先程も喜んでいらっしゃいました」
「父と連絡を?」
「いえ?先程別室でご挨拶させていただきまして」
「別室…?」
暁斗くんの様子がおかしい。
「やーっぱな。こんなこったろうと思ったよ」
隣で謎の発言をする和希くん。



