「お兄ちゃん、なに作ってるの?」
「チョコだよ。明日ユイにもやるな」
「わーい!」
そう。
明日はバレンタイン。
夜な夜な家でチョコ作り中。
「あんた、バレンタインはもらう方だよ?お返しはホワイトデー」
「わかってるよ!」
おかんのうるさい戯言は無視。
「よし!出来た!」
ラッピングも完璧。
次の日の放課後。
俺は朝からずっとドキドキしっぱなし。
受け取ってくれるだろうか。
「おい」
「ん?」
帰る直前の皆実を止めた。
「皆実、やるよ」
俺が差し出した箱を見て固まっている皆実。
「…は?なにいきなり」
そりゃ、そうなるよな。
「だっだから!チョコだよ!」
やべー。心臓、張り裂けそう。
もし受け取ってもらえなかったら…
だって女子たちのチョコ、全部断ってるもんな……
ドキドキがエグい。
手汗もかいてきた。
「おう。サンキュ」
そう言って皆実が受け取ってくれた。
受け取ってくれた………
受け取って………
頭の中でエコーのようにリピートされる。
俺は嬉しすぎてどうしたらいいかわからず、思いっきりダッシュしてその場を離れた。
来年も作るぞ!



