さっきの男の子の声。

今、アキニイって言った??



私の頭からそっと手が退く。


「和希……」

え…暁斗くん、今なんて。。



「和希!お前…今までどこにいたんだよ!?」

和希くん!?と呼ばれる男の子の胸ぐらを掴む暁斗くん。


「わー!暁斗くん!ケガ人だから!ちょっとー!」


1日に何回この子は胸ぐらを掴まれるんだ。



「テメェ、どんなけ探したと思ってんだ!?ふざけんなよ!」


暁斗くん!お願い、落ち着いて!



「うるせぇ…相変わらずだな、暁兄は」

「お前…!」


ヤバイ!暁斗くん、手を出しそう‼︎




パンッ!!

私は大きく手を叩いた。


「よし!ひとまず握手をしましょう」


私の突然の提案に固まっているふたり。


「は…?いお、ふざけてんのか?」


おぉー。怒りが私にも向いてきてしまった。


「全然ふざけてないけど…暁斗くん、和希くんはケガ人だよ」


前に聞いた…弟さんだよね?




「手続きいってくる。…和希、一緒に帰るぞ」


暁斗くんはそう言って病室を出て行った。




「あんた何者?」

「へ??」


和希くんからの謎の質問。

「あの暁兄が人の言うこと聞くなんて珍しくて」


そうなの?
てか、あれは言うこと聞いたうちに入るかな?


「まぁ、俺様だもんね」



「くく…あははは!あんたやっぱ面白いね」

和希くんが笑ってくれた。

無邪気に笑った顔がなんだか暁斗くんに似ている。
綺麗な整った顔も。

皆実家の遺伝はさすがです。



「伊織…だっけ?あんたさぁ、暁兄とどんな関係なの?」


「えっ!!?」

ドキッ
いきなりそんなこと聞く!?


いや、でも普通気になるか…


「えーっと…暁斗くんと……付き合って…ます」


「マジ!?」


おい、今日イチの反応だな。


「兄貴、ロリコンだったのか…」


なんですと!!??


「ちょっと待って!私、一応あなたより年上なんだけど!ん?一応って言うか絶対に!暁斗くんと同い年だよ!」


必死で言いすぎて、ハァハァと息が荒くなった。



「うーわ…マジか。俺より年下だと思ってたよ」


ガーーン
ってことは中1以下に見えてたってわけ?

なんかショック通り越して無になるわ、感情が。



「ほんとおもろいね、あんた。じゃあ、俺のお義姉さんになる人だ♪」



ん?


「え…?なんでそうなるの?」 

「付き合ってるんだろ?じゃあ結婚するんだよな」


なんという、すれてないというか素直というか……


「いつ結婚すんの?」


ついていけない、この子の発想に。
暁斗くんとは全然似てない性格、えげつないほどの天然くんだ。


とりあえず、今は無視しよう。