冬の寒さが少しずつ落ち着いてきた3月中旬。
もう少しで春休み。
期末もなんとか終えることが出来て一安心。
だけど、家では年度末というもので仕事が多忙を極めている暁斗くん。
この2週間ほどまともに話してない。
そういえば、最近はケンカもしてなさそうだしよかった。
誰を探してるんだろう。
暁斗くんの仕事が落ち着いたら…勇気出して聞いてみようかな。
家の廊下の掃除をしながらそんなことを考える。
「おい、ちゃんと集中してやれ」
「おわっ!!」
後ろから大好きな人の声が!
声のトーンや話し方は相変わらずの俺様だけども。
「給料下げんぞ」
ヒラヒラと手を振って仕事部屋に戻っていく暁斗くん。
こんな風に話せたのも久々で、それだけで嬉しい。
そんな毎日を過ごして気づけば春休みに突入。
今日は午後から仕事がお休みの日。
お母さんたちの家へ遊びに行く。
暁斗くん忙しいしなぁ、メッセージだけ送っておこう。
スマホを見ながら歩いていたせいで、角を曲がった所で人にぶつかってしまった。
「すみません!」
「…………」
相手は無言。
怒った…??
顔をぶつけて下を向いていた私は、恐る恐る顔を上げた。
わっ綺麗な顔の男の子。
だけど、目つきがなんだか怖い。
「あ、あの!ほんとにごめんなさい」
私の謝罪は無視で、そのまま歩いていってしまった。
怒らせてしまったかな。
でも…何もされずよかった。。
なんだか怖い雰囲気だったなぁ。
私は暁斗くんにメッセージだけ送って、スマホを鞄にしまった。
「お母さん、最近困ったこととかない?」
「なにもないわ。伊織こそ大丈夫?」
「私は全然!」
「お姉ちゃん、公園に遊びに行こうよー!」
「そうだね!」
久々に晴と2人で公園に出かけた。
こっち方面にも、こんな公園あるんだ。
晴とブランコで遊んでいると
「お!阿部じゃん。一緒の人だれ?」
「お姉ちゃんだよ」
晴のお友達かな?
「お姉ちゃん、ちょっと友達と遊んでいい?」
「行っておいで。お姉ちゃん、ここで待ってるね」
公園のベンチでちょっと休憩。
晴、元気だなぁ。
私もうヘトヘトだよ。
晴が友達と遊んでる姿を見て、ホッとする。
一緒に楽しそうに遊んでて嬉しいな。
「〜〜!!」
ん?
公園の外の路地から、なんか声が聞こえる。
言い合い?
公園の近くなのに物騒だな。
絶対近づかない方がいいのに、私はそーっとその路地に向かってしまった。
少しずつ声が聞こえる。
揉めてる?
警察呼んだ方がいい?
チラッと覗くと男の人が7、8人。
ガッ!!!
その中のひとりの男の人がいきなり殴られた。
「俺らの所抜けるって意味、ちゃんとわかってんだよな?」
殴られた人は、さらに胸ぐらを掴まれた。
プッ
まさかの、殴られた人は相手に向かって唾らしきものを吐いた。
「こんなしょうもない所いるぐらいなら、どうなったって構わねーよ」
「テメェー…!!」
ヤバイ!!!



