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学校の終礼。

「来週の野外遠足は私服だからな。ただし、華美な服装は避けるように、注意書きもよく読んでおけ」


私服!!!



終礼終わりで荷物をまとめ中。


「みっちゃん!野外遠足が私服って知ってた!?」

「知ってたよ。前から安田(担任)が言ってたじゃん」


知らんかったー!!


「買い物行っててよかったね」

「ほんとに!助かったよ」



「阿部さん、杉本さんまたね〜」
       ↑みっちゃんの苗字
クラスメイトの女子数人から話しかけられた。



「あ、バイバイ…」


え、私にもバイバイしてくれた…?


「伊織が色んな意味で変わってきたってことじゃない?いいことじゃん」


「そうなの…かな」


ヤバイ、すごく嬉しい。


「あんたさぁ、やっぱメイク下手だね。昼休みとかにまた練習するか」

「えぇ!!今朝も4時起きで頑張ったのにー!」



来週の野外遠足、楽しみだなぁ。
学校の行事でこんなにワクワクするの、小学校以来じゃないかな。




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ワクワクで仕事もより捗る。


「…なんかあった?」

暁斗くんの仕事部屋の掃除中。


「え?なんでですか?」


「顔にいいことあったって書いてある」


嘘!!

私は焦って自分の顔を触った。



「ぶはっ!んなわけねぇだろ」

あっ、笑った。
仕事中で話しかけてくれて、笑ってくれてる。


きゅーん
 
今日いいことあり過ぎて怖いなぁ。


「んで?なにがあったん?」

「でも今仕事中だし」

「俺が今聞きてぇんだよ。話せ」


これこれ。やっぱり安定の俺様が最近は安心する。



「今日クラスメイトの女の子たちにバイバイって言ってもらえて。入学してから初めてで、嬉しかったんです…」

こんなことでって思われるんじゃないかな。


チラッと暁斗くんを見る。


目をパチクリさせてこっちを見ている。

ほらー!!
やっぱりそんなことでって思ったんじゃー!!



「すげー嬉しいことだな!やったな」


え、嘘。。。
笑ってそんな風に言ってくれるなんて。


「いおからも挨拶しろよ」

「来週早速やってみます!」

「張り切り過ぎて空振りすんなよ」


自分の日常やささやかな嬉しいことを大好きな人にこうして聞いてもらえる。
絶対手放したくない大切な時間。



「あと、来週野外遠足があるんです」

「ふーん」

「まさかの私服で…暁斗くんがこの前買い物行かせてくれたから安心して参加出来るの!ほんとにありがとう」


「…あっそ///」

いきなりそんな可愛く笑うなよ
ほんとコイツは……


「来週のいつ行くんだよ」

「火曜日だよ」

「火曜日…そっか。楽しんでこいよ」




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「みっちゃん!これ見て!」
「テンション上がり過ぎだから」


やってきました、野外遠足。
朝4時起きで、朝食を作りメイクに服装に頑張りました!
みっちゃんからも、無事オッケーをもらいホッとした。


今日の野外遠足のメインはプラネタリウム。
お昼ご飯をみんなで食べてから、プラネタリウムを見るまでの間は自由時間。


「杉本さん、阿部さん。これみんなで乗らない?」

「いいじゃん。伊織、高いの大丈夫?」

「うん、たぶん大丈夫」


こんな乗り物、初めて乗るしなぁ。
でも、ワクワク。


クラスで男女4、5人でグループ作りになり、私はみんなとまだまだ馴染めずほぼ化石化してたけど、みっちゃんが一緒になってくれて無事4人グループを作ることができた。


プラネタリウムの近くにある、小さな遊園地。
同じグループになった金谷くんの提案で、ジェットコースターに乗ることになり、並ぶことになった。



「ねぇ、俺のこと覚えてる?」


一緒のグループになった長谷川くん。
実はグループ一緒になってから名前を覚えたってゆー…
もう1人の金谷くんもだけど。。
だって、ほんとクラスメイトと全然話さなかったし!
接点とかなかったし!


「長谷川くんだよね?」

覚えてるってどういう意味だろう。
もしや、私が名前を知らなかったのバレちゃってた!?
だいぶ失礼だよね。。


「去年の年末前、ぶつかって阿部さん鼻血出したでしょ?」


鼻血。。。


「あっ!!あの時の!」

私がダンスの練習で寝不足だった時ぶつかった人だ!


「やっぱ同じクラスってわかってなかっただろ?」


暁斗くんと比べると少し背が低めの長谷川くん。
まぁ暁斗くんが結構高いってだけなんだけど。


「…ごめんなさい。気づいてなかったです」

みっちゃんは金谷くんと話してるし、助けを求められない。



「あー、ごめんごめん。謝ってほしいんじゃなくて、やっと話せたなぁと思って」

「やっと…?」


「なんかちょっと前まで阿部さんって話しかけづらい雰囲気あったからさ」


そうなんですか!?
そんな雰囲気出してた!?

お金ないし、友達と遊んだりとかも出来ないから絡まないようにしてたけど
雰囲気まで出てたとは。。


「そ、そうなんだ…なんかごめんね」


「あー、違う違う。マジで謝ってほしいんじゃなくてさ。最近雰囲気変わったなぁと思って!こうして話せて嬉しいんだよ。グループも一緒になれたし」


こんなに話してくれる男子のクラスメイトは長谷川くんが初めてで、どう返事をすればいいのか少し戸惑ってしまう。

だけど、素直な気持ちは伝えたいな。


「あ…ありがとう!なんかすごい嬉しい!」


私、何か変わってきてるのかな?



「もっとそんな風にみんなと話せばいいのに」

「これから頑張ります」


なんか心がほっこりする。



「混んでるねー。他の学校も遠足で来てるみたいね」
「だなぁ。みんな私服だからわかんないな」

みっちゃんと金谷くんが話してる。


「そうなんだ。どこの学校だろうね?」
「さっき聞いた噂じゃ、優聖らしいぜ」
「え!そうなの!?」

長谷川くん、その情報もっと早く教えてよー!

改めて周りを見ると、ほんと人が多い。
私たちの後ろもたくさん並んでる。


「おっせーよ。先並んでおいたぞ」
「頼んでねぇよ」

後ろの人たちの会話がふと聞こえた。
なんか暁斗くんの声に似てるなぁと思ったけど、まさかだよね。



「そういえば、阿部さんって優聖の奴と知り合いなんだろ?前、学校来てたよな」

「あー、そうだね…えっと…」

いきなり教室まで来たことあったな。