あれから私もお風呂に入り、お互い寝る準備万端。


飲み物を部屋に持ってきて、女子会を開催。
実は夢だった女子会。

「伊織、なに笑ってんの?」

「女子会に憧れてたから…友達とのお泊まりとかも」


あ!でも、みっちゃん今日傷ついてるんだよね!
私、不謹慎なこと言っちゃったかな。


「伊織可愛すぎ!そりゃ、御曹司くんもメロメロなるわ」

みっちゃんが笑ってくれて、少し安心した。


「今日はほんとにありがとね。すごく助けられた。タケシとも…別れられて実はちょっとホッとしてるんだよね」

「そうなの?」

「前から浮気してるだろうなって思うことがちょこちょこあったし、このままじゃダメだなって思ったりしててさ。でも離れる勇気が出なかったんだよね」


みっちゃんからこういう話を聞くのが実は初めて。
いつも私の話をたくさん聞いてくれてたから。


「でもやっと別れられてスッキリした!!新しい恋するぞー!」


「みっちゃんなら絶対すぐ出来るよ!そういえば金谷くんは?」

「金谷!?やだよ、あんなナヨナヨした奴」

「そう?優しそうだし、みっちゃんに一途に思えるけど」
 
金谷くんとは、野外遠足の時に一緒のグループになったクラスメイト。


「御曹司くんにコンパ開いてもらおーっと」

「暁斗くん、そんなタイプじゃないと思うけど…」


色んな話をして気づけば夜中の2時を回っていた。


「さすがにそろそろ寝なきゃだね」

「みっちゃん、ここで一緒に寝よ」

ベッドで一緒に寝ることにした。


「ねぇみっちゃん」

「ん?」

「いつも私の話ばっかりでごめんね。これからは、みっちゃんの話もたくさん聞かせてね」

「私が伊織の話を聞きたいんだよ。それに、私の話もしてるしさ。ね?」

みっちゃんは同い年なのに、ほんとお姉さんみたい。


「みっちゃん、おやすみ」

「…伊織、ほんとのほんとにありがとうね。こうして一緒だから今日ちゃんと寝れると思う」


みっちゃん、強がってるけど絶対悲しいよね。
タケシさんのこと、大好きだったから。

私はみっちゃんの手を握った。


「「おやすみ」」



ーーーーーーーーーーーーーー


あれ?朝…?
うっすら目を開けると、いつもとは違う景色。


「えっ!?」

急いで起き上がると、なんとも広い部屋。

あ…そっか!
御曹司くんの家にお泊りしたんだ。

隣を見ると伊織はいない。
トイレとかかな?


スマホを確認すると朝の8時。



ガチャッ

「あっみっちゃん起きた?おはよう」

伊織が戻ってきた。
でも服装は…メイドさんのような格好をしている。


「朝ご飯出来てるから下行こう」

「あ、うん」

伊織に1階へ案内をしてもらう。


「それが仕事着?朝から仕事!?」

「そうだよー。ちなみに朝ご飯は私の手作りです♪」


あんな遅くに寝たのにちゃんと朝起きて仕事してるんだ。
尊敬するなぁ。。


伊織に連れてきてもらった部屋は、これまた広くてドラマとかで見たことあるような長いテーブルがある。
御曹司くんと弟くんは、すでに朝ご飯を食べ始めていた。


「お、おはよう…ございます」

なんか緊張する。


「おー、おはよ。朝飯冷める前に食えよ」

朝からこの顔面の強さ…眩しくてなんか目が霞む。


「みっちゃんだっけ?ちゃんと寝れたー?」

昨日庇ってくれた、弟くん。

「うん、ちゃんと寝れたよ」

「ならよかったー」


このふたり、性格は結構対照的だけど優しい。
伊織が幸せそうなのも納得がいった。
なんか嬉しい。


「伊織!おいしいね、これ!」

「ほんと?みっちゃんに褒めてもらえるなんて嬉しいー!」

昨日の悲しさなんて、あっという間に飛んでいった。



帰る準備をして、玄関に向かう。
御曹司くんたちや伊織に挨拶しなきゃ。



あ…

「弟くん」

「あれ?帰んの?」

弟くんがあくびをしながら、廊下を歩いてきた。


「うん、伊織も仕事中だし邪魔したくないし」

「そっか」


昨日のお礼をちゃんと言いたい。


「弟くん、昨日はほんとにありがとう!あんな風に…庇ってくれて」

【光季は俺のもん】って言葉。
嘘ってわかってるけど、、なんだか嬉しかった。


「あー、あんな風に言っちゃってごめんね」

「なんで謝るの!?タケシにも…なんか見栄はれたような気がするしすごく感謝だよ!」


「はは!ならよかった」


失恋したのにこんなに気持ちが軽いのは、間違いなくみんなのおかげ。


「ありがとう!」

「あんたいい人そうだったし、それに伊織の友達だし。ってことは、俺らとも友達でしょ?」


そうなの!?

「そう思っていいの?」

「てか、そうじゃないの?」


私は声に出して笑った。

この子、ほんとに不思議な子。


「ぜひ、お友達でお願いします」

嬉しくて涙が出てくる。



「玄関まで案内するよ」


弟くんについていく。


「ねぇ弟くん」

「なにー」

「伊織のこと好きだよね?」


無言でものすごい速さでこっちに振り向いた。


「それ、伊織が言ってたの?」

「ううん、昨日見てたらすぐわかったから」


弟くんが顔を真っ赤にした。
やっぱり、この子純粋だなぁ。


「暁兄には勝てる気しないけどギリギリまで足掻くつもり」

「伊織、純粋だからね」



伊織がこのままずっと幸せに過ごせますように。