先にみっちゃんをお風呂に案内。

部屋に戻ろうとした時、暁斗くんに会った。



「暁斗くん、今日な色々…ごめんなさい」

ぽすっと私の頭に手を置いた暁斗くん。


「なんでいおも謝ってんの?謝る奴はあのゴミクズ野郎だけだろ」


ゴミクズ!!
最低な言葉使ってますよ!!!


「お泊まり…よかったの?」


「いおなら、アイツのそばにいたいって言うだろうなぁと思ったし、それに」


「言ったろ?いおの大事な奴は俺にとっても大事なんだよ」


あぁ、この人はなんでこんなにもドキドキさせるんだろう。


「みっちゃんは?」

「今お風呂だよ」

「ふーん…」


手を引っ張られて連れてこられたのは、暁斗くんの部屋。


「暁斗くん、どうしたの?」

暁斗くんは返事をすることなく、ゆっくりと私の顔に近づきキスをした。



「わわ!暁斗くん!?」

「俺だけだった?キスしたかったのって」


そんなわけないってわかってるくせに!!


「暁斗くんの意地悪…」

ははっと暁斗くんが笑う。
最近笑ってくれることが増えたな。


「俺、花火大会初めてだったんだけど」

「そうなの!?」

「そっ。また“初めて”を一緒に過ごせて嬉しかったのは俺だけ?」

おわ〜!!
甘々暁斗くんだ!!


「そんなことないよ!!一緒に花火見れて私も嬉しかったよ!!」


暁斗くんが私のほっぺに触れる。


「浴衣もマジ可愛い」

暁斗くん、なんかの病気!?
そんなことを思ってしまうぐらい甘々で、その甘々モードに溺れてしまいそうな自分がいる。



キス…したい

私は目を瞑ってゆっくり暁斗くんの顔に近づく。



バンッ!!!


「暁兄〜!伊織が部屋にいないんだけど!…って、ここにいたんだ」


私は暁斗くんを突き飛ばし、間一髪和希くんに見られずに済んだ。


「和希くん!どしたの!?」

「伊織声大きい…暁兄はなんで倒れてんの?」


私が突き飛ばしたせいで、また後頭部をぶつけた様子。


「いお…俺を殺す気か……?」

さっきの甘々モードはどこへやら、ブチギレモードになってます!


「ごめんね!だって…」

いきなりドアが開いたから…!



「和希何度言えばわかんだよ。ノックしろって言ってんだろ」


「別に兄弟でノックとかいらなくない?」

「いるんだよ。次しなかったらしばくからな」


まだドキドキがおさまらない。


「和希くん、私を探してたの?」

「あーそうだった!伊織の浴衣姿、カメラで撮りたいなと思って♪」

「は!?」

この【は!?】は私。


「撮らなくていいよ!恥ずかしいし!」

「なんで〜。可愛いし似合ってんじゃん」

和希くんもさらっと可愛いとか言ってくれる。


「撮んな。撮ったら殺す」

このひと言で撮るのをやめた和希くん。



「私、みっちゃん迎えに行ってくるね」

そろそろお風呂上がる頃かも。


私は暁斗くんの部屋を後にした。