花火の打ち上げはあっという間に終わった。
「綺麗だったね!」
「ほんとに!伊織、一緒に来てくれてありがとね」
私はみっちゃんに抱きついた。
「私がだよ!!」
「伊織〜俺にも〜!」
和希くんは暁斗くんに頭を叩かれていた。
花火大会からの帰り道。
「飯田が車で迎えに来てるから」
そうなんだ!
「私は電車で帰るよ」
「え!なんで!?じゃあ私も電車で帰る」
「みっちゃんも乗ってけ」
暁斗くんのひと言で、みんな車に乗ることになった。
「なぁ」
車の中。
暁斗くんがみっちゃんに話しかける。
「今日ウチに泊まっていけよ」
はい!!??
暁斗くん、なんと!!??
暁斗くんと飯田さん以外、全員フリーズ状態。
「えっと…どういう……」
あのみっちゃんさえ、戸惑っている。
「お前の親がオッケーしたらだけど。こんな日は友達と過ごした方がいいんじゃねぇか?まぁ、俺はよくわかんねぇけど」
やっぱり暁斗くんは優しい。
【いおの大事な友達は俺も大事だから】
あの言葉を思い出す。
「えっでもいきなり迷惑じゃ…しかも浴衣だし着替えとか…」
「適当に用意させるから心配すんな」
出ました。無自覚のお金持ちムーブ。
まだこれは序の口だな。
「伊織…いいのかな?」
「みっちゃんが大丈夫なら私は嬉しい!!」
今日はみっちゃんのそばにいたいと思っていたから余計に。
「お母さんに連絡するね!」
みっちゃんのお母さんからの承諾も得て、急遽暁斗くんの家でお泊まりになった。
「わー…ほんとにお屋敷じゃん」
「ね?すごいでしょ」
「伊織、ここに住んでるんだね。なんか改めてすごいなと思うわ」
「私なんもすごくないんだけど!?」
そんな話をみっちゃんとしていると、牧さんがやってきた。
「牧さん、さっき飯田から連絡あったと思うんだけど…」
「はい、伺っております。お着替えもございますからね」
私とみっちゃんは玄関でひとまず暁斗くんたちと別れて、牧さんについていった。
「お…お金持ちって感じがさっきからヤバイんだけど」
ひそひそと話すみっちゃん。
だよね。
私も慣れるまで時間かかった。
「牧さん、急なお願いですみません」
「とんでもございません。伊織さんの大切なご友人様がお越しくださると伺いまして、とても嬉しく楽しみでございました」
牧さんにみっちゃんの着替えをいただいて、一度私の部屋へ向かった。



