閉会式も終わり、私たちは先に車に戻って暁斗くんたちを待つことにした。


「すみません、トイレに行きたくて」

「こちらの校舎の2階にございます。ご案内しましょうか?」

「ありがとうございます。大丈夫です!先に牧さんと車に向かってください」



私は飯田さんに教えてもらった校舎の2階に向かった。
前にダンスの練習で来た時とは違う校舎。
…というか、学校が広過ぎて校舎もたくさんあって迷路みたい。





あ、みんな体育祭の片付けをしてる。
邪魔ならないように急いで行かなきゃ。




2階に上がった所で人にぶつかった。



「ぶはっ!ご、ごめんなさい!」


「…は?なんでいんの?」



この声は!?

バッと顔を上げるとそこには暁斗くんが。



「えぇ!?なんでいるの!?」
「俺が聞いてんだよ。片付けしてんだし、この階にクラスあるんだしいるに決まってんだろ」


そうなんだ…。


「お手洗い借りたくて…飯田さんが2階にあるって言ってたから」

「は?来客用は別の校舎だぞ」


ちーーーん


そうなの…?
飯田さーーん!!!


「…飯田が言ったんだ?」

飯田の奴…わざとか?



「うん…」


急いで来客用の校舎に行かなきゃ。



グイッ

「来い」

手を引っ張られて連れて来られたのはトイレ。


「とっとと行ってこい」

「はい!!」


なんと言うか…トイレに行くだけでなんでこんなプレッシャー感じないといけないんだ?

それにしても…
学校のトイレとは思えないぐらい綺麗なトイレだな…。
カネモチコワイ。



トイレから出ると、暁斗くんはいなかった。
片付けに戻ったかな。
もうちょっと…話したかったなぁ。

帰る場所が一緒なのに私ってば…



「あぁ、後でやっとくし置いててくれ」
「ありがとう、暁斗くん」


“暁斗くん”って呼んだ??

声のする方を見ると、暁斗くんと女子生徒が話してた。



暁斗くんは手を振って笑ってる。


チクッ

まただ。
なにこれ、このモヤモヤ。


私は首を横にブンブンと振る。




「またやってる」

暁斗くんがこっちにやってきた。



「お前、それよくするけどなにしてんの?」


さっきあの女の子に向けてた笑顔だ。

モヤモヤが膨らんでいく。
暁斗くんが色んなお友達と仲良くしてるのはすごく嬉しいことのはずなのに。



「な、なんでもないよ!私、飯田さんたちの所行くね」

なんか、このモヤモヤすごく嫌だ。
暁斗くんに絶対バレたくない。




ガシッ!
私は何故か頭を掴まれた。

え、仮にも彼氏にこんな風に頭を掴まれる彼女って世の中にいるのかな?




「ちょっと来い」

Noなんてありえない流れで、強制的にズルズルと引きずられる。



着いたのは屋上。



「ゼェハァ…」

「お前、運動不足過ぎなんだよ」



何階上がった!?
しかもなかなかの速度で。
でも、暁斗くんは全然息が上がってない。



「こっち来てみ」

「わぁー…」


柵に近づくと、とてもいい景色。
よく見ると、この校舎は他の校舎より少し高くて眺めが良いんだ。
そりゃ、あれだけ階段登るわなぁ。



「結構いい景色だろ?」

こっちを向いて笑う顔がかっこよくて、愛しくて抱きしめたくなっちゃう。



ぎゅっ!!


「そんな笑顔…ほかの人に見せちゃやだ……」




ん?


んん!?



おわーーーー!!!!!



私は急いで暁斗くんから離れた。


今…私なにした…!?
なに言った…!?


自分から抱きしめて…それからー…


自分の言ったことを思い出す。



どっひゃー!!



「お先に失礼します!!」


意味わかんない挨拶をして、その場を離れようとした。
ヤバイよ、恥ずかし過ぎるし、、、なによりあんなこと言ったら引かれちゃうよ!!




「は?どこ行こうとしてんだよ」


ガシャンッ

あっという間に私は柵に追いやられて、暁斗くんと柵に挟まれた。
あ…これ【柵ドン】的なもの??
なんて、また現実逃避を始める。



「今のなに?もっかい言え」

ひぇ〜〜!!!!
鬼だ、悪魔だ!!!

今のドン引きするようなことをもう一回言えですと!?



「なに言ったか…覚えてません。というか、空耳では…?」

なんちゅー苦しい言い訳。。




「あっそ。じゃあここで襲われてもいいんだな?」


スルッと暁斗くんの手が私の腰から服の中に入ってきた。


「ひゃっ!!」



私の背中をなぞって、ブラのホックを触った。



「俺はいいよ、ここでシても」

そう言ってブラのホックを引っ張りそして離して、パチンッと鳴らす。
全然痛くない。
だけど、ドキドキはエグくて気絶してしまいそう。




「…いいってことだな」

ガブッ
暁斗くんが私の耳を噛んだ。



「きゃっ!!」

ダメだ…この甘さから逃げたくない自分もいて……

だけど…だけど………





「タンマー!!!!」