こわれて星




体育でプールを使ったりしてなかった気がする、去年、どうせ今年も水泳部とか楽しい事好きな男子たちが使うんだと思う。


日陰から出て、プールの縁まで近づいてみる。しゃがみこむ。底の青い線、水色の壁と床、ああ懐かしいな。懐古心、だけ生きてきた。


セキリュティなってないだろって感じの更衣室も、シャワー室も、やけにしっかりしたベンチも。すぐさま夏を連れてきそう。


今ここに水満ちてたら、私、飛び込んでしまっていたかもしれない。というか飛び込んでしまいたかった。何となく。


何となく、の感情に巻き込まれる時間が欲しくなった。


水色に、逃げたくて。水色を逃がしたくて。
見て欲しくない。誰にも。



「どっか行きたいな」



口癖みたいに飛び出る言葉。熱い頭。
今日、何℃だっけ、わかんない。


アスファルトに反射しないおかげで足の裏が熱篭ってる。だって、なんか。なんか。夏って可笑しいな。


溜め息をつきながら立ち上がると、扉が開く音がした。


そういえば掃除しなきゃだったっけ、と当初の目的浮かんできて、いつの間にか放ってしまった箒を手に取る。


ゆっくり入ってきたその人は、私の方を見るなり足を止めた。



「何してんの」



それだけ、はっきり聞こえる。