「似合わない?」
「ううん、似合ってるよ」
染めたばかりだというその髪色。可愛いと思うけど、彼女にしては珍しい。
「何でイメチェン? 前のも似合ってたのに」
私の前の席に腰をおろした彼女はすこし気恥ずかしそうな表情を浮かべて、別にいいでしょ、と言いながら毛先を指に巻き付けた。
それで、あ、と気づく。
そういえばそんなこと言ってた気がする。
「かわいいねー、サキちゃん」
「やめてよ糸川。そんなんじゃないよ」
サキちゃんこと、崎田 杏子。キョウコでもアンズでもなく、アコ。でも苗字で呼び合うからその辺はあまり気にしてない。
サキは見た目のわりに結構乙女で、恋に振り回されるかわいさを持っている女の子だ。
前の、すこし赤に近かった髪を染めたってことは、そういうことだから察しやすい。顰めっ面でも頬が赤いから全然隠せてないけれど。
「サキの彼氏かー、あんま想像できない。写真ないの?」
「まだ彼氏じゃないから持ってないよ。でも、なんて言うかな、年上なんだけどね、」
きらきらした目に思わず笑う。
サキの恋愛の話、聞くのは結構楽しい。
相手は他校の先輩で、何度かグループで遊んだことがあるらしく、そのなかで惹かれていったと照れたように頬を緩ませていた。



