手元の書類をわざわざ音読する担任に何となく眠くなりそうな予感がして、窓の外を視線を向ける。
まだ青い色が占めていて、橙は訪れない。グラウンドで起こる部活生の声がなんかよくあるドラマっぽくて、ほんとにこんな感じなんだって理解できそう。
やっぱ理解できないかも。だって放課後担任に呼び出し受けて、1から全部の説明を聞き続ける青春なんてどこにもない。
「…で、その後は本部のテントに集まって貰う予定になってます。ここまでは大丈夫?」
「あ、はい」
いつの間にか行われていた会議の内容をおさらいした、と担任がにっこり微笑む。ぼうっと机の上の書類に視線を落として文章を追う。
本当に重要な役割は任されていないということがわかるのに、どうして放課後残っているのかって。
憂鬱になるほど担任の朗読を聞き流し、気づけば5時半を過ぎていた。
ひとりで朗読を果たした担任は満足そうに頷き、「今日はここまでにしようか」と私の目を見て笑む。肩の力を抜く。
一体何の時間だったのか。
でも担任的には私がサボってたから当然って感じなんだと思う、まぁ良いけど。書類を机の上で揃えて担任に渡す。
机の脇に置いていた鞄を持ち上げて、席を立った。
「これからはよろしくね、糸川さん」
すかさずそう言った担任にそろそろ苦笑が出てくる。
「はい」
手短に返事をして、軽く会釈した。
用事は何もないけど急ぐふりをして教室を出る。廊下は、しんと静まっていた。でも季節柄、まだ外は明るい。
部活なんてしたことないからこんな時間まで学校にいるの、気がそわそわしてしまう。なんてことは残念ながら私には起こらない。
何も思うことがないわけじゃないのに、何だか今日は疲れてしまった。
廊下をダラダラと歩き、いつも通りに階段を降り、靴箱の前。ローファーに履き替えて、っていつもと違うのはバランス崩して靴箱に顔面を突っ込みそうになったくらい。
体勢を立て直して胸を撫で下ろす。こんなとこ芽吹に見られなくてよかった。
なんで私、芽吹のこと考えてるの。
「あー、やめやめ」



