振り返るとホワイトブロンドの髪。
どっちが言ったのかわからないその言葉に、芽吹は目を細めた。
「急に呼ぶから何かあったのかと思った」
「何かなかったら呼んだらだめ?」
固い声でそう言われて、首を横に振る。そんなことないけれど伝えるには長いから、面倒臭くて。
「心配」
ひとことで済ませてしまうことにした。
頷いただけの芽吹は私の弁当を奪って、自分のものと一緒に、一番近くにあった机に置いた。
驚いていると、シャツの白が目の前に広がる。温かい手が私の背に回って、ぎゅっと抱きしめられた。
色がついたリップ、付けてなくて良かった、なんて思う。芽吹の背に手を添えて、額を胸元に擦り付けた。
「、ちっさいね」
失礼な言葉が落ちてくる。
ゆっくり目を開けて、返事をするには億劫で、また目を閉じた。穏やかな心音が伝わる。視聴覚室じゃなかったら、こんなの無理だ。
静かで、冷たくて、そうじゃなきゃ耐えられない。芽吹はやさしいままだから。
「ごめん」
手をそっと外して顔を上げると離れた芽吹の、何も映さない微笑みが綻んでいた。
何に謝っているのかわからない。内心首を傾げながらも何も返す言葉がなく、お昼済ませよう、とだけ口にする。
彼が座った隣に腰をおろして、手を合わせた。彼も私に続くように手を合わせて、自分の弁当をひらきはじめる。
「そういえば今日、居残りになった」
「ん?」
何の報告だ、って言われそう。何も考えずに話題を持ってきてしまって後で思った。
「何かわるいことしたの、彗」
「してない」
わるいことしてそうなの、どう見ても彼の方なのに。隣を見ると芽吹は不思議そうな表情を浮かべている。
「体育委員の仕事、サボりすぎて」
「十分わるいことしてるじゃん」



