鞄をベッドの脇に放った芽吹はそのままベッドに座って寛ぐ。学校では会えない彼を早速目の当たりにして心臓が変。
クッションを勝手に移動させてベッドの側面に凭れるように座り込み、机の上にペットボトルを置く。
「あ、彗。それコンセントにさして」
「これ?」
「そー、それ。どーも」
「ゲームするなら私もしていい?」
「ん。珍しい」
テレビをつけて操作し出した芽吹は、無表情で私の顔を覗き込んできた。
「今日、すなお。どーしたの」
「い、いつも通りだよ。びっくりした」
「ふーん」
変に脈拍が乱れたのを誤魔化せば、興味無さげな返事とともに離れていく。
急だと驚いてしまう。部屋とか空気とか会話とか、慣れていても、なんかやっぱり油断した時は動揺が飛び出て。
そういうの悟られたくなくていつもより返事が早まって、って、そろそろバレてると思うけど。気づいたフリしてくれるまではセーフ。
「ホラゲ以外でお願い、芽吹」
「じゃ、これは? かの有名な配管工が姫救っちゃうやつ」
「私できるかな」
「やったことあんの?」
「あんまり。でもやってみたい」
つい口に出た言葉に芽吹が咳き込んだ。
「やっぱ今日どうかしちゃってんじゃん。素直すぎるもん、彗チャン」
また顔を覗き込んでくる彼に、今度は予想できていたおかげで動揺しなかった。私の代わりに目を瞬かせている芽吹が面白くて笑う。
「もーいいよ、その話。今日は芽吹が楽しいって思うこと私もしたいの」



