こわれて星




メッセージを返信したあと、ぼうっとニュースを眺めていると、芽吹がペットボトルを2本持って私の方に歩いてきた。


そして驚いたような顔をする。



「部屋行っててよかったのに」

「いやなんか、人の家勝手に歩き回れないよ」

「遠慮? らしくな」



持っているうちの1本を差し出されて受け取れば、背を向けられて慌てて追いかけた。サイダー、冷えててつめたい。


わざわざありがとう、って言いそびれてしまった。


階段を上がって、廊下の突き当たり。そこが芽吹の部屋で、ドアには小ぶりなイルカのモチーフが飾られている。


昔お母さんがくれたからそのまま飾ってる、って彼が言っていたことを思い出した。学校で見る無表情とは全然違う、穏やかな顔で。



「ちょっと散らかってるけどいいよね?」

「あ、うん。逆に芽吹の部屋が散らかってるとこ、見たいくらい」

「何それ」

「だっていつもキレーなんだもん。整理整頓上手いよね」

「フツウだよ」



彼が足を止めるから止まる。小さなイルカが揺れながら遠のき、その代わりに白い壁が見えてきた。


続くように部屋に入る。白と黒を基調としたインテリア、アイボリーの遮光カーテン、必要以上に物がなくてさっぱりしている部屋。いつも通り。


漫画や小説、参考書が収まっている本棚だけが唯一カラフルだ。



「テキトーに座って」

「うん」