箒が倒れているところまで行き、それを拾った。もう掃除はいいか、なんてこと思ってる。だってこんなにも暑い。
1回空を見上げてみれば、燦々と主人公ぶってる太陽。眩しくて手を翳しながら見上げるのをやめた。それでまたベンチの方を振り向く。
スマホを操作している芽吹が、暗い場所にいるせいで、さっきと違う人みたいに見えた。
同じ場所で見る彼と、違う場所で見る彼。学校で会う彼と、学校以外で会う彼。同じなのに違うみたい。
「芽吹!」
顔を上げた芽吹に手を振る。
「来て」
でも。
わらったみたいな表情は、どっちも変わらないような気がした。
⸝⋆⸝⋆
⸝⋆⸝⋆
「はい、彗」
「ありがとう」
渡されたものの包装を外して、気をつけながら口に含んだ。冷たく、甘い味が口腔に広がっていく。
プール掃除を勝手に切り上げて学校帰り、寄り道したコンビニでアイスを買って食べるとかいうの、この季節にしかできない。
ふたつで1セットのアイスを分けて食べるのなんて、私だけだったら絶対にしないから。
「甘、」
ちらりと横を見る。
芽吹は静かにアイスがついた口の端を舐めた。
「なんかずるい」
「ん?」
つい口に出る。



