箒が音を軽く立ててアスファルトに倒れる。
彼の目指す場所は日除けのある場所に設置されたベンチだった。
「掃除サボるの?」
「休憩、休憩。他の奴らどうせ来ねーよ」
腕を掴んでいた手が離れたから足を止める。
さっき来たばかりのくせにベンチに座ってだらけてしまう彼に、呆れが浮かんできた。間隔をあけて隣に腰掛けると、妙な空気が流れる。
それを苦とは思わないけど、彼が喋らないのは私が喋らないからなんだろうなってわかるの。
日陰にいるおかげですこし風が涼しい。落ちていた数枚の葉が舞った。
「今日、さ、掃除一緒って思わなかった」
「いや?」
「え?」
聞き返そうと隣を見る。
合った眼がすこし真剣。
「嫌だった?」
「まさか。びっくりしただけ。一緒になったことなかったから」
「確かに。番号遠いもんな」
「うん」
彼、深山 芽吹、って名前だから私とはなかなか遠い。めぶき、という男子にしては珍しい名前の、キレイな人。
彼はよくもてる。席替え、掃除当番、係の仕事、あらゆる場面で女子が揉める原因。
そんな彼はよくわからない。
「今日のは俺がセンセーに頼んだ。おまえと一緒が良かったから」
「芽吹が?」
「そ」



