「八永ちゃん! ……え、飴?」
ようやくパソコンから顔を上げた想乃は、輝の手にある黒ポーチに反応した。
今あたしのこと呼んだ?と聞くより先に彼は輝に黒い笑みを浮かべていて。
「食べすぎないでってこの前言ったばっかだよね?」
「……」
「輝? ちゃんと聞いてる?」
「……わかった」
「って分かってないでしょ! ほら、そのポーチ貸して!」
パソコンをテーブルに置いてポーチを奪おうとする想乃。
“わかってる”とか言うだけ言って、ポイポイ飴玉を口に放り投げながら逃げる輝。絶対わかってないだろ。
想乃が何を言おうとしたのか気になりがらその様子を眺めていたら────バチリ。見事、輝から大量の飴入りポーチを奪い取った想乃と目が合った。
「───あ。その、連絡先交換しない?」
「連絡先?」
「俺たち“五閃”の連絡先。何かあったら、誰でもいいから連絡してほしい」
信号機たちとは前に交換したけど、そういや想乃たちのは知らないな。
あたしはポケットから携帯を取り出し、想乃にみんなの電話番号とメールアドレスを登録してもらった。



