「ここは幹部部屋だよ」
「……誰かここで暮らしてんの?」
室内にはテレビ、キッチン、冷蔵庫、ダイニングテーブルまで揃っていて、普通に生活できそうな部屋だった。
テレビの前のロングソファには茜と藍が、その奥の一人用ソファには輝が座り、真琴はダイニングテーブルで真剣に宿題に取り組んでいた。
隅から隅まで見渡すあたしに、想乃は「どこに座ってもいいから」と。
あたしはロングソファの手前にある黒色のソファに腰を下ろす────ぼすんっ。身体が深くまで沈み込んだ。
すご、めっちゃ良いソファじゃん!
「今日はおめえのお披露目会だから、気合い入れてけよ〜」
ぼすんぼすんっ、と座って立って座って立ってを馬鹿みたいに繰り返していたら、藍が雑誌から顔を上げた。
焦茶色のロングソファに長い脚を組んで座っている。
「……お披露目会?」
「他のメンバーたちへのな〜。肝心の姫の顔がわからなかったら、守りようもねーだろ?」
「あ、なるほど」
要は下にいる面子たちにあたしの顔を覚えてもらうため、自己紹介をする会って感じか。



