──ピタリ。
両端にあった二階のロフトのようなステージへと続く階段を上がると、鉄製フェンスの反対側に三つの部屋があり、その真ん中の部屋の前で輝は歩みを止めた。
(ここって幹部部屋かな……)
“天色”の倉庫にも似たような部屋があった。
あたしはよく下で面子たちと遊んでいたけど、副総長は陽の光に当たりながらいつも部屋で寝ていて……。
ふと。その懐かしい光景が頭をよぎり、思わず口から笑みが溢れる。
「……おい」
「ん? あ、ごめんごめん。ちょっと考えごとしてた」
一瞬頭に浮かんだ、“猫”みたいなやつの顔。
輝の呼びかけでハッと我に返ったあたしはそれを振り払うように頭を振った。
「──あ、来たぜ〜」
彼がドアを開けると、中から藍の間延びした声が聞こえた。
「ここって……「あ”あぁっ!」
な、なに!?
絶叫に近い声のした方へ顔を向ければ。
「お前のせいでゲームオーバーになったじゃねェか!!」
ゲーム機を片手に、頭を抱えて嘆いている茜。それは絶対にあたしのせいじゃないと思う。
「どんまい」
はっと鼻で笑ってやれば、茜がこちらへ来ようと──したのを想乃が慌てて止めに入った。
「面倒事が増えた……」と、ぼそり呟いて。



