出発してから約10分後、バイクが止まった。



「おお、でっか!」



 ここまで安全運転で走ってくれた輝にお礼を伝えてから、バイクを降りて目の前の大きな倉庫を見上げる。


 天色のとどっちが大きいかなーなんて頭の中で比較している間に、輝はもう倉庫に向かってスタスタ歩いていた。おいちょっと待て!!


 慌てて彼の後を追う。


 シャッターは閉まっていたので横のドアを使って倉庫内に足を踏み入れる、と。


 “閃光”の面子らしき人たちがトランプやボードゲームやゲーム機で楽しそうに遊んでいた。



「あ、輝さん」

「お疲れ様でーす!」



 輝に気づいた面子たちが次々に挨拶をする。それに彼は「ん」それだけ言って歩みを進めた。


 ……眠いんだろうな。まだ目、半開きだし。


 あたしは輝のすぐ後ろを歩いてるけど……何やらヒソヒソと話し声が聞こえる。



「あの人が姫?」

「え、どれどれ」

「ほら、あの青メッシュの!」



 輝は倉庫のど真ん中を歩いているから、左右にいる面子たちの視線を痛いほど感じるよ……。


 もう少し端っこを歩いてほしいなと心の中で強く願ったが、そんなことお構いなしの奴はズンズンど真ん中を突き進んでいった。