「八永って“閃光”の姫になったんだよな?」



 五閃の話をしていたからか、そういえば、と和樹が思い出したように言った。



「実は俺らも“閃光”のメンバーなんス!」


「えっ、そうなの!?」



 どこか得意気な太郎が「ここの男子生徒の三分の一は閃光に入ってるんスよ!」と具体的に教えてくれた。


 彼らには、あたしが姫になったことを噂ではなく“事実”だと知らせるメールがすでに送られているらしい。



「だから“閃光”でもよろしくね!」



 えへへ、と可愛らしく笑った香。



「……でもさ、正直いきなり姫って言われても納得できなくない?」



 今まで姫がいなかったのなら尚更。突然現れた女が姫になっても、すぐには受け入れられないと思うんだけど……。



「八永ならいいよ。ここの女子みたく媚び売ってこねぇし」


「そうそう」



 和樹と香は疲れきった顔で周囲の女子生徒に目をやった。それに気づいた彼女らは「きゃっ!」なんて高い声を出して頬を赤く染めている。