「……そんなことよりさ、結局なんでその髪色にしたの?」



 赤、黃、青緑と信号機カラーの髪。


 昨日は藍に邪魔されて聞けなかったから、改めて質問し直した。



「あれ。そういや藍さんが来て言えてなかったんだっけ?」



 コテンと可愛らしく首を傾げた香が「説明します!」とまたあの敬語キャラで話し始めた。



「この色は、僕らが憧れている人たちの髪色なんです!」



 そう言って嬉しそうに目元を緩める香。


 あたしも知ってる人だと言われ、誰なのかと尋ねると。



「茜さんです!」と和樹。

「想乃さんですっス!」と太郎。

「真琴さんです!」と香が、とびきりの笑顔で答えた。



「それって、“五閃”の?」



 はい!と三人の声が揃う。


 まじか。憧れの人ってあの三人のことかよ!



「でも……そんなに激しい色じゃなくない?」



 和樹は真っ赤、太郎は明るい青緑、香は黄色の髪なのに対し、茜はやや黄みがかった赤、想乃は落ち着いた深緑、そして真琴は金髪だ。



「お、同じ色なんて畏れ多いよ!」



 指摘すると、そんな敬語の外れた香の言葉に合わせて無理無理!と他の二人も手を横に振る。


 あたしなら全く同じ色にしたいから、遠慮する彼らの考えはよく分からなかった。