「ほ、本当ですか!?」
ガシッと急に両肩を掴まれた。
つり上がり細くなっていたはずのコウの目が今度は大きく見開かれていて。
「姫になったんですか!?」
「う、うん……なったね」
ぼそぼそと小さい声で答えると、彼は「よかったです」とほっと安堵したような顔を見せた。
「よかった……?」
なぜか嬉しそうな表情のコウ。その意味がわからなくて眉間にしわを寄せていれば。
「俺もあいつらに、賭けてみることにしたんです」
ニッと口端を上げてさらに意味不明なことを言い出した。
「賭けてみるってなに……」
「じゃあ千暁に報告してきます!」
「ちょっ、今? てか授業は!?」
今日はちゃんと授業受けてくださいねー!とあたしの言葉は無視して元気に叫んだコウは、理事長室の方へ走り去ってしまった。
別に今じゃなくてもいいじゃん……。
コウの大きな背中を呆然と見つめながら、一人でため息を吐く。
「……教室、行くか」



