「コウに呼ばれたから教室行くね」
もう知り合いだってバレたし、面倒だから荒野先生って言い直さなくてもいいか。
「八永ちゃんと理事長や荒野先生の関係って?」
立ち上がろうとしたのを想乃に止められた。
……八永ちゃん?
「あ、これからは下の名前で呼んでもいいかな?」
「…………いいけど」
苗字じゃなくて名前で呼ぶには許可が必要ってこと? さっき茜が驚いてたのは、あたしが勝手に名前を呼び捨てにしたから?
そんなの知らなかった……同学年だし、つい。
「あたしも名前で呼んでいい?」
今更だけど許可を取ると、想乃と茜と藍は頷いてくれた。
真琴は……うん、苗字で呼ぼう。
輝は……あぁ。やけに静かだと思ったら寝てたのかよ。ま、無言は肯定の証ってことで!
「それで、あの二人とおめえの関係は〜?」
藍に答え忘れていた質問を繰り返され、暁とコウとの出会いを振り返る。
「二人ともあたしの知り合いの友達で、昔よく遊んでもらったんだ。……だからあたしにとっては“お兄ちゃん”みたいな存在」
最後の言葉は言うつもりがなかったのに、気づけば声に出していた。
……恥ずかしいから“親友”だって思ってるあいつらには絶っ対に言ってやんないけど。



