「──てか、“残念綺麗顔”って誰のことだよ」



 まさか俺のことじゃねェよな?とムッとした顔の茜に睨まれる。



「もちろん茜のことだけど?」



 ネーミングセンスあるだろ!とドヤ顔で言ってやったのだが、反論してくる気配がない。


 それどころかポカンと口を開けて彼は固まっていた。



「え、どうしたの」


「いや……別にいいけどよ」



 やっと口を開いたと思ったら大きなため息を吐かれた。


 なにその反応。意味わかんな────



 ブブブ、ブブブ、ブブブ、ブブ「誰っ!?」



 ポケットで震え続ける携帯を取り出し画面を開くと、コウから何通もメールが届いていた。


 『今どこですか?』
 『屋上ですか?』
 『もう授業始まってます』
 『メール見たら連絡ください』


 いや怖っ! 授業中にどんだけ送る気だよ!


 ブブブ、とまだ震えている手元の携帯。あたしは『すぐ行く』と急いで返信して携帯の画面を閉じた。