「…………え、」



 あ、あたし!?


 いやいや別にあいつらと親友になった覚えなんてないんだけど……



「お前、まさか“雨天”とも知り合いか? 彼が今いる場所って知ってるか!?」


「……へっ?」



 茜がまた急に声を張り上げるもんだから、思わず間抜けな声を返してしまった。


 今度は何なんだお前。



「いやだから、雨天が今どこにいるのか知って……」


「ちょっと待った!」



 前のめりになって聞いてくる茜を一旦止める。



「なんでそんなこと知りたいの?」


「なんでって、会いたいから」


「……いやなんで」



 ストレートすぎて逆に意味わかんないだけど。


 ……ていうかもう、会っちゃってますけど。



「実は俺たち、一度だけ彼に会ったことがあるんだよね」



 困惑していると、想乃が興奮で前のめりになった茜の肩を軽く押して言った。


 あの時はあたしのことを知らなかったけど、やっぱりあとから“天色”の総長だって気づかれたか……。



「それに“閃光”が関東一の族になるまで強くなれたのは、彼の言葉のおかげなんだ」


「……言葉?」


「うん。彼は“強くなれる秘策”を教えてくれた」



 当時のことを思い出すように彼は目を細める。


 そうだ。あの日は気分が良かったからか、“彼”の言葉を伝えたんだった。