──帰宅後。
昼ご飯を食べたり、着替えたり、ニュースを見たりしてダラダラ過ごしていたら。
コウから“授業が終わり今あたしの家に向かっている”といった内容の連絡がきた。
コウたちの家がどの辺りか知らないけど、着替えの時間もあるだろうしまだかかるか──ブブブ。
「……」
デスク上にある携帯が震え、メールが届いたことを知らせるランプが点滅した。
表示されている名前は、コウ。
内容は────『着きました』
(はっっや!!)
慌てて支度を済ませ、家を飛び出す。
家の側に停まっている黒色の車に乗り込めば、運転席にはコウ、助手席には暁が。
二人とも学校の時と同じ黒スーツを着ているから、帰宅しないで直接あたしの家まで迎えに来たんだろう。
「これコウの車? かっこいいね」
「家から学校まで少し遠いので買いました。シートベルト忘れないでくださいね」
「……つーか、一人暮らしにしてはでかい家だなぁ。さすが正人さん」
そう驚きながら、暁は父さんが用意してくれた家を眺める。確かに二階建てだし、一人暮らしにしてはかなり大きな家だ。
あたしがシートベルトを付けたのを確認して、コウは車のエンジンをかけた。



