「はぁ、はぁ……っ」



 全力疾走でこの学校、『私立櫻木(サクラギ)高等学校』まで来た。


 それに最上階の三階まで三段飛ばしで上がってきたもんだから「はぁ、」疲れた。


 頭上には『理事長室』の文字。時間は────よし、ギリギリセーフ。


 ふぅ、と息を整え身だしなみを簡単にチェックする。三回ノックしてからドアを開けた。



「失礼します。今日からこの学校に通う予定の……、っ」



 両手に顎をのせ高級そうな椅子に座っているのは、おそらくこの学校の理事長。


 綺麗な黒髪がさらり、揺れる。


 その少し童顔で整った顔立ちをあたしはよく知っていた。