「……うそ」


「嘘じゃねえよ〜」


「本当の本当に?」


「うん。本当だよ」



 何度尋ねても二人は頷く。


 同じことを繰り返し確認するあたしを怪訝に思ったのか、



「なんだよ。俺らが“暴走族”だって知って怖くなったか?」



 赤髪、茜がボリボリお菓子を食べていた手を止めた。



「いやまったく怖くはないけど、正直会いたくなかったっていうか……」


「「「……は?」」」



 全員の声がぴったりハモった。


 それも今まで無言だった銀髪や金髪まで……ちょっと正直に言いすぎたかもしれない。


 でもまぁ、“雨天”の時は男のフリを徹底してたんだし、いくら正体がバレたくないからってそんなに心配することもないか────



『お前、どっかで会ったことないか?』



 それはあたしがナンパと勘違いした、銀髪の輝が最初に放った言葉。



 ………いや、待て待て待て。


 え、なんで? まさか気づかれた? あたし完っ全に“男”だったと思うけど!?




「……お、お前」




 一人で悶々と考え込んでいたら、女嫌いの真琴が初めて口を開いた。


 あたしは昨日の輝の時のように、彼が何を言うのかとドキドキしながら身構えていれば。



「俺らのことが、嫌いなのか……?」


「はあ!?」



 思わず大声をあげてしまった。だって一言も言ってないだろそんなこと。


 あたしが彼らを、嫌いなわけがない。




「むしろ“大好き”だから!」




 ────彼らがいたからあの日、あたしは立ち上がることができたんだ。